リンパ球のがん
悪性リンパ腫は、白血球の一種であるリンパ球が、がん化することで起こる血液のがんです。がん細胞となったリンパ球は、リンパ管を通じて全身をめぐり、リンパ節の多いところ(首、腋の下、足の付け根など)に腫れやしこりのようなものをつくります。多くの場合、痛みはありません。
しこりは、一般的にはリンパ節にできますが、脳や臓器などにもできることがあります。
種類が多い
治療開始のタイミング
悪性リンパ腫の治療
悪性リンパ腫の治療は、薬による治療(薬物療法)、放射線療法、造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)移植などがあります。はじめて病気がみつかったときは、薬物療法と放射線療法が中心です。造血幹細胞移植は、最初の治療のあとに、再発(病気がぶり返す)したときにおこなわれることがあります。
最近では、CAR T(カーティー)細胞療法などの新しい治療も、悪性リンパ腫の種類によっては、使えるようになっています。(CAR T細胞療法)
治療法は、悪性リンパ腫の種類、悪性度や広がり、患者さんの症状や状態などにより、患者さん本人と担当の医師(血液内科専門医)で相談しながら決めていきます。

びまん性大細胞型(だいさいぼうがた) B細胞リンパ腫とは
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は非ホジキンリンパ腫のうち3〜4割を占め1)、もっとも多くみられるタイプです。
DLBCLは、リンパ球のうちB細胞が、がん化することで発症します。 “びまん性”とは、組織全体に均一に増殖して広がるという意味で、DLBCLでは、がん化したB細胞が、組織全体にはびこるように広がっています。病気の進行が月単位で進む中悪性度のリンパ腫です。
はじめてDLBCLと診断された場合の標準治療は、R-CHOP(アールチョップ)と呼ばれる複数の抗がん剤を組み合わせた治療です。さらに病状や患者さんに応じて、放射線療法がおこなわれることもあります。
薬による治療の効果がみられなかったり、効果がみられても再発してしまった場合には、 別の抗がん剤治療や造血幹細胞移植が検討されます。最近では免疫療法のひとつであるCAR T細胞療法も使用できるようになっています。
- 監修
- 北海道大学病院 血液内科 教授 豊嶋崇徳先生
- がん診療レジデントマニュアル 第9版:15 造血器腫瘍 悪性リンパ腫, 2022, p320
- 国立がん研究センター がん対策情報センター:がん情報サービス「悪性リンパ腫」 https://ganjoho.jp/public/cancer/ML/index.html (2023年3月8日アクセス)
- 伊豆津宏二(監修):【2019年改訂】もっと知ってほしいリンパ腫のこと, NPO法人キャンサーネットジャパン, 2019, p4, 6-9 https://www.cancernet.jp/wp-content/uploads/2013/04/w_Lymphoma.pdf (2023年3月8日アクセス)
- 国立がん研究センター がん対策情報センター:がん情報サービス「診断と治療 造血幹細胞移植」 https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/HSCT/index.html (2023年3月21日アクセス)
- CHOP療法の手引き(2020年2月):国立がん研究センター中央病院 血液腫瘍科・薬剤部・看護部 https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/division/pharmacy/010/pamph/DLBCL/010/DLBCL_010.pdf (2023年3月21日アクセス)